2017年最後に大変残念な事実をお書きします。
MTPEを導入しても翻訳速度はそれほど早くはならないし、値段は下がらない。もう一度書きます。
MTPEを導入しても翻訳速度はそれほど早くはならないし、よって値段は下がらない。
2017年、1年間をかけて検証してみた結果です。我々は、この1件を使ってNMTを使ってなんとかして翻訳速度を上げること及び値下げに挑んできました。結果、MTPEは断念することになりました。
恐らく同業者さん(特許翻訳を専門にしている翻訳会社)も気づいていると思います。NMTが利用可能になったとき業界全体が湧き上がりました。各社様々な方法でNMTを活用するサービスを模索しました。が、特許翻訳業界では、それほどMTPEが商品として扱われていないことが全てを物語っていると思います(ですので翻訳者さんには朗報と言えるかもしれません。NMTのよって職を失うことがないことが判明したからです。)
NMTは、特許明細書のように複雑な構文を使っているテキストを翻訳できません。一応、翻訳はしてると言えるかもしれませんが、我々にとれば、「翻訳してる」というレベルではありません。全体に亘って修正を加える必要があるからです。
無論、エンジンによって違いはあると思いますが、NMTが出力する翻訳は、せいぜいTOIEC800点レベルです。このレベルの翻訳者が翻訳しても(少なくとも特許明細書に限って言えば)、翻訳とは呼べない翻訳結果しか返ってきません。TOIEC800点レベルの新人翻訳者が行った翻訳を想像してみて下さい。僕ならぞっとします。全面的に書き換えることを念頭に置くでしょう。
翻訳と呼べない最大の理由は、翻訳結果をコントロールできないことです。たとえTOIEC800点しか取れない新人翻訳者でも目の前で「determine」は、「判別する」で統一して下さいと指示をすると統一できます。NMTはこれができません(学習型機械翻訳(AMT)はこれができます)。
ですので、人がゼロから翻訳しても、NMTを使ってポストエディットしても、両者には、速度の上でそれほど違いはありません。社内で検証したところ、MTPEを利用した場合、20%程度は生産効率が上がることが確認されました。しかし、20%程度の生産性向上を目標とするなら既存の音声入力ソフト、トランスレーションメモリのようなソフト、及びオートサグゼッション機能を組み合わせれば実現できます。わざわざNMTを導入する意味がありません。
2018年からは、MTPEのサービスを一度廃止することを検討しています。なにか状況が大きく変わればまたそのときに考えようと思っています。
この1年、様々な取り組みを行い、NMTをサービスの1つとして取り組む努力を行いましたが。結論として我々は断念を選びました。2018年からは頭を切り替えて新サービス導入に向けて励むつもりです。
*上の記事は、特許明細書を翻訳する場合のみについて書き込んだものです。一般テキストを翻訳する場合は、NMTでもそれなりの効果があると思います。
*ポストエディットを前提にして原文の明細書を書くという条件下では、NMTを使う意味は大いにあると思います。よって出願人さんや特許事務所内で、明細書も書くし、翻訳もするという環境下の方が利用する意味が高いと思います。
NMTの進歩は著しいですが
返信削除現時点でも評価に変わりはありませんか?
よろしくお願いいたします。
最近、増々進歩し続けています。
返信削除