2019年12月3日火曜日

機械翻訳の実力、人間の実力

以下は、トライアルの評価シートに記入された採点者によるコメントである。意図的に用意された評価ではない。正真正銘の評価シート内のコメントである(受験者を特定できないようにコメントは省略しています)。

  • 複数のandを「および」と「ならびに」で使い分けて表現している点はよいと思います。
  • すべて平仮名の「がん」にしているのは、「癌」が常用漢字ではないという理由であればかまわないと思います。
  • PDFで確認していないためか、原文誤記の指摘で足りない箇所があります。
  • 上付き添え字が消えているのはタイプミスなのか、意図的に無視したのか、それとも使っているフォントが原因なのか不明でした。
  • 置換基の列挙で、=S を「=硫黄」とするなど、化学で使わない表記になっています。
  • 「がん」と「癌」の区別ができている点から学術用語の理解ができていると思います。
  • 原文誤記の指摘は、最初と最後の2つを除いて適切です。間違った指摘の箇所は、テキスト変換時の文字化けなどが原因。
  • PDFで確認しているはずですが、添え字の上付きの処理ができていません。
  • 請求項1で、eitherが訳抜けのため、異なる2つの条件が同時に成立してしまう和訳です。
  • 複数のandについて「および」のみです。「ならびに」を使っていません。

受験者の語学力は、最低でも英検1級レベル、特許翻訳のご経験もそれなりにあった翻訳者さんばかりです。

これでは機械翻訳の出力結果の方が優れている。もし人がこの程度の翻訳しかできないのであれば、特に経営者は、機械翻訳を使う方を選ぶのではないだろうか(特に、機械翻訳は価格が安いし文句言わないし)。

よく機械翻訳がダメな例としておかしな訳を表示していかに機械翻訳がだめかを示そうとしているケースがありますが、人(プロ及びセミプロ)がやってもこれぐらいのエラーが発生することを知っておく方が公平な判断を下せると思います。

我々は、だから人の方がだめだという立場ではありません。機械の方が優れているとも思いません。我々は、機械と人とが協働してより良い翻訳を作り出すことを目標に日々努力しています。

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